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「ねえ……。奥さんはそれでも幸せなの?」 「さあ。男の私には分かりかねます」 「センセイは?」 「概ね幸せですよ。教授への道も拓けましたし、研究にも没頭出来る。そしてあなたにも」 再び抱き合い、私の視界には霧が掛かる。霧の中にセンセイがいる。今、狸はひとりでマンションの部屋にいる。私は幸せだ、奥さんより幸せなのだ。センセイに求められてセンセイに快楽を与えられている。だから幸せなんだ、と。 「……」 私は自分にそう言い聞かせてセンセイの背中にしがみついた。
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