第四章

10/17
前へ
/118ページ
次へ
「沙月……100年ぶりに竜神様のお出ましだぞ」 「え? ……まぁ!」 「ねぇ兄上。その子に近付いても大丈夫……?」 「大丈夫だよ。おいで」 薊は優しく答えた。 「噛まれたりしない……?」 「しないよ」 そう言って龍を撫でる薊を見て、沙夜はゆっくりと龍に近寄って行った。 手を伸ばして、恐る恐る龍の鼻先に触れる。 グルルルルルルル…… ――龍は小さく唸ったが、それはもう威嚇の声では無かった。 「この子、大人しいね!」 「だろう? 噛み付いたりしないよ」 薊らは、一匹の龍と共に、静かで幸せなひとときを過ごした。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加