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「沙月……100年ぶりに竜神様のお出ましだぞ」
「え? ……まぁ!」
「ねぇ兄上。その子に近付いても大丈夫……?」
「大丈夫だよ。おいで」
薊は優しく答えた。
「噛まれたりしない……?」
「しないよ」
そう言って龍を撫でる薊を見て、沙夜はゆっくりと龍に近寄って行った。
手を伸ばして、恐る恐る龍の鼻先に触れる。
グルルルルルルル……
――龍は小さく唸ったが、それはもう威嚇の声では無かった。
「この子、大人しいね!」
「だろう? 噛み付いたりしないよ」
薊らは、一匹の龍と共に、静かで幸せなひとときを過ごした。
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