花より酒!?

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「でも、俺等に未来を教えて良いのか? 歴史が変わったら、お前の存在が消えるかも知れねぇんだぞ?」 土方さんの京紫色の瞳が不安げに揺れる。 ……今日の土方さんは見ていて弱々しいな。 「良いんですよ。 私は新選組の為ならこの命、差し出す覚悟です。 それに、使えるモノは全て使う。 それが“鬼の副長”でしょう?」 私の台詞を聞いて、土方さんは鼻で笑う。 「そうだったな。 すまねぇな、しんみりした話をしちまって」 「いえ、大丈夫です。 只、隊士達の前では止めて下さいね」 私が言えば土方さんは、わぁってるよ!と苦笑する。 「なら、皆の所に戻りましょう? どんちゃん騒ぎになってますから、雷を落とさないとですよ」 チラリと後ろを見れば、追いかけっこをしていた総司達も座って騒いでいる。 彼処に居ないのは私と土方さんだけみたいだ。 「だな」 土方さんはそう言って皆の所へ歩き出し、雷を落とした。 私は、その後ろ姿を見つめて考えていた。 私は……、私には一体何が出来るのだろう? 新選組を助ける為に何が。 いや、私は彼等の刃となり、盾となり、頭脳となればいい。 もし死んでしまっても、私の様な人間の代わりなんて幾らでも居る。 でも彼等の代わりなんて居ない。 彼等だけは助けたい……。 「夏香ー!!」 呼ばれた自分の名に、顔を上げれば皆の姿が。 「今行くー!!」 彼等だけは、助けてみせる。
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