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「うぇぇ。
着物、重いです……」
「これくらい我慢しい!
姐はんのは軽めのやつなんやで?」
これで軽めとか、島原の人達ってどんだけ力あるんだよ……。
次の日、土方さんに説明を受けた私と丞は島原に来ていた。
私は着物を着せられ、芸子の格好をしている。
丞は何度か潜入しているらしくて、結構地位が在るらしい。
長州も人気芸子よりは新人芸子の方が情報を吐きやすいだろうと予想し、今回は護衛に回ると言っていた。
丞の五月病が発動してるよ……。
私だけこんな格好とか嫌だな。
内心不機嫌な私にも女将さんは上機嫌。
「あらまぁ、綺麗やねぇ~。
もしクビになったらウチに来ぃひん?」
勘弁してくれ!
毎日こんな格好なんて嘘だろ!!
「嫌やわぁ、女将さんったら。
ご冗談が上手なんやから」
私は習ったばかりの廓言葉を使い、話してみる。
うん、中々いけるんじゃね?
「冗談とちゃうんやけどな~。
太夫や天神にも引かず劣らずな美しさやしな。
これなら長州はんも気付かへんのとちゃう?」
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