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「此処や!」
ある部屋の前でお鈴ちゃんは止まった。
「ありがとう、案内してくれて。
じゃあ、お酒をお願い」
そう言ってお鈴ちゃんが取りに行ったのを確認すると、私は顔を引き締める。
……運が良かったみたいで今日は長州が来ていた。
地位のある奴か下っ端かは知らないけど、引き出せる情報は全部吐かしてやる。
『夏貴、行くよ?』
(舞など、困ったら僕に代わって下さい。
一通りは出来ますから)
夏貴の言葉に頷いてから襖に手をかける。
「失礼しますぅ。
夏風申しますー、入ってもよろしいでしょうかぁ?」
媚びを売るような甘い声を出し、部屋に居る奴を見る。
部屋に居るのは五人、か。
「お~、やっと来たのか!
待ちくたびれちまったぜ!!
さ、酌してくれよ」
少し頬を赤らめ、派手な着物を着た男が話しかけてくる。
「はい、只今ぁ~」
笑みを作り、男に近づいていく。
「姉ちゃん、別嬪さんだな~。
俺の嫁にならねぇか?」
……は?
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