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『さぁ、第2位までの発表が終わりまして、あとは最後のグランプリの発表を残すのみとなりました。
果たして、今年の栄光のグランプリを受賞する栄えあるミュージシャンは、一体どなたなんでしょうか?』
俺が見上げるステージの上では、司会者が声を張り上げてMCをやっている。
(とうとうここまで名前を呼ばれなかったなぁ……。
まっ、俺がグランプリを受賞すんだから当たり前か…)
って、生意気なことを考えてる俺が居るここは、ある大手レコード会社が主催するアマチュアミュージシャンの日本一を決める大会の会場である。
全国各地から予選を勝ち抜いて来た、アマチュアミュージシャンが決勝に挑み、ついさっき準優勝までの発表が終わったところだった。
そして俺は、今座っている席でステージに呼ばれなかった面々の顔を、気付かれないように横目で盗み見た。
(んだよ、残ってるのはみんなシケてる奴らばっかじゃんか…)
(でも、こいつらどんな歌を歌ってたっけ…)
そんな疑問を持ちつつも、男女入り混じった、ソロや2人組やユニットのエントリー者達の顔を眺めながら、俺はほくそ笑んだ。
『ジャララララ……?』
ステージの上からは、グランプリの受賞者発表のためのドラムが鳴り出した。
『さぁっ!…栄光の日本一のミュージシャンに輝くのは……!』
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