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『ジャララララン……♪」
派手なドラムの音に、会場中の人間達は静まり返る。
そして、ドラムは鳴り止み会場の中は緊張感溢れる静寂の中に包まれた。
司会者はゆっくりと折りたたまれた紙を開き………。
グランプリを受賞したミュージシャンの名を読み上げた。
『本年度のグランプリ受賞者は………エントリーナンバー1番……、トキオさんです!!』
(ウォォーー、ヤッター!!!)
俺は自分の名前を読まれた瞬間、思わず立ち上がり両方の手で硬く拳を握りしめ、そのまま真上に突き上げた。
それと同時に、会場の客席からは大きな歓声と盛大な拍手の音が鳴り響く。
『さぁ、それではトキオさんにはステージの上に上がってきてもらいましょう!』
司会者のそう喋る声と同時に、薄暗かった俺達出場者が座っている席に向かって、スポットライトが照らされた。
もちろん、スポットライトは俺一人だけの姿を映し出す。
そのスポットライトの光は、まともに目を開けていられない程の光量だった。
(うわっ!……マジで眩しいな…)
席から立ち上がった俺は、天井から照らしてくる照明を浴びながら、ステージに向かって歩き出した。
『さぁ、トキオさん!ステージの上に上がってください!』
司会者は催促するかのように、俺に視線を向けて促してきた。
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