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「ひゃっ……!」
我に返った私は
急に近づいてきた男の顔に驚き、
後ろに仰け反るように跳び跳ね逃げる。
といっても落ちたベッドに
すぐに背中が当たり
男との距離を作ることなんて
そんなにできなかった。
男は私の態度に不思議そうに首を傾げ、
少し眉間にシワを寄せたかと思うと
「酷い顔。
頭もボサボサだし、
風呂でも入って来たら?
タオルは棚に置いてあるのを使っていいから」
失礼にも男は私の顔を見て鼻で笑い、
そしてタオルで髪を拭きながら立ち上がると
ベッドの傍らに置いてあった煙草を取り、
火をつけだす。
知らない男の家で風呂に入るなんてあり得ない!
今の私にはどんな顔だろうとどうでもよくて、
早く服を着て何もなかったことにしてさっさと帰りたくて堪らなかった。
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