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でもすぐに気づき、
俺は口元を手で押さえ
気持ちを落ち着かせると、
気持ちを切り替え封筒に入れ、
とりあえず請求書類を入れる引き出しに仕舞う。
もし……
多分、
大丈夫だとは思うが、
彼女が覚えていない時の保険として
目のつかないように。
ここまで用意周到な自分が可笑しい。
お互いあんなに求め合い、
抱き合ったのに、
さすがに覚えていないなんてあり得ないのに、
それでも尚、
こんな行動をとってしまう自分がいる。
目を閉じれば、
まだ彼女の息づかい、
甘い香り……
そして好きだと俺の名前を何度も何度も囁く彼女の声が、
顔がしっかりと焼きついている。
つい目を閉じ余韻に浸る。
まだそんなに遠くない新しい記憶。
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