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「おい! 咲穂!」
身体を揺さぶり、
何度も何度も強く呼び掛けてみたが
目を開けるどころか
全く反応を示さない。
俺の腕の中で彼女の身体が力なく項垂れるだけ。
俺は濡れるのも気にせず抱き上げると、
そのまま風呂場から彼女を連れだした。
彼女からボタボタと水が滴り落ち床を濡らしていくが、
そんなことを気にする余裕すらなく、
俺はリビングを通り抜け、
寝室のベッドに彼女を寝かせた。
赤みを帯びた彼女の頬にソッと手の甲をあててみると
微かに反応を見せ、
少し安心した俺は彼女の元から離れキッチンへと向かった。
そしてシンクに水を溜めタオルを濡らす。
加減が分からず、
少し緩めに絞りすぎたのかタオルから水が滴り落ちるが、
あまり気にせず彼女の額に置いた。
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