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司さんは無言のままうつむいている。
少し濡れている髪を撫でてあげたいような気持ちになる。
優羽は続けて、
「あっ、足ももう少ししたら治るらしいし、頭痛も昨日に比べたら全然ないし、記憶がないのもただ司さんのことだけだしっ……」
落ち込んでる司さんを一生懸命慰めるつもりだったが、何を言ってるのかわからなくなった。
くっくっとうつむいている司さんが笑いだした。
「だよね。
俺のことだけ思い出せなくてもどうってことないしね」
「あっ、そういうことじゃなくてっ」
司さんが笑いながら顔をあげた。
今度は真っ赤になった優羽の方がうつむくかたちになった。
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