母の心

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「あ……、 そ、うだったんだ」 ちょっとだけ気が抜けてしまった。 恋人だけど恋人じゃない感じがぬぐえなかったから、自分が母親に彼の話をしていたと聞いてほっとした。 「昔あんな目に遭ったから、あんたがちゃんと男性と向き合えるのか本当に心配してたのよ。 だから、あんないい人とご縁があってホントうれしいわ、お母さん」 「……うん」 「……てことで」 シャリッといい音をたてて母は梨を頬張った。 「早く思い出しなさい。 それができないならもう一度彼と恋愛しなさい」
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