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「あのさぁ、前回もそうだったけど…お前って突然、呼び出すよな」
翔太は玄関で仁王立ちして鼻を膨らませた。
「そんなに心配すると思わなかったから…ごめんね」
翔太の予想外の真剣な表情に戸惑ってしまう。
「『翔太、早く来て!』なんてメールが来たら、心配するに決まってるだろっ!...大丈夫か?」
翔太は険しかった表情を緩め微笑んだ。
「なんとか…。ずっと夜勤だったら助かった。仕事してれば忙しさで気が紛れるからね」
忙しく走り回ってる間だけは余計な事を考えずに済む。
でも、ふと気を抜いた瞬間、時計を見る度に二人の行動が気になり、頭の中で想像だけが駆け巡る。
考えたくないのに、頭から離れない。置かれた立場も忘れ、彼女に対する憎しみで、心が埋め尽くされる。
「そっか、夜は特に淋しくなるよな。どうする?外に飲み行くか?」
「いいや。このまま私の部屋で飲も。そんなとこに突っ立ってないで上がりなよ」
私は狭い玄関に立つ翔太に軽く手招きし
、冷蔵庫から缶ビールを2本を出した。
「いや…一応女の子の部屋だからさ…それにしても、男友達の前ですっぴんに部屋着って普通あり得なくない?」
翔太は私の余りにラフな格好を見て呆れた様子で笑った。
「だって、男友達って言っても翔太だもん。色気なんて出す必要ないし」
「何だよ、その粗末な扱いは。せっかくここまで来てやったのに」
「大丈夫!ブラはちゃんとしてるから」
拗ね顔を見せる翔太に缶ビールを軽く投げると、翔太はそれを片手でキャッチした。
「大丈夫って…大丈夫の意味分からんし」
翔太は部屋に上がり苦笑いした。
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