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午前0時を回った頃、準夜勤を終えた唯が、私を心配して白衣のまま部屋に駆け付けてくれた。
三人で暫く会話して、二人は帰宅した。
一瞬にして、静まりかえった部屋で、私は電気をつけたままベッドに潜り込んだ。
翔太のおかげで、不安定だった気持ちが幾分楽になった気がする。
でも、目を閉じ暗闇が続くと、昨夜と同様頭に浮かぶ映像が動悸を誘う。
明日になれば和馬に会える…この暗闇が明ければ、苦しかった時間が終るから…次に目が覚めた時には、またいつもの二人の時間が戻ってくるから…。
『眠ろう…眠ろう』と頭の中でその言葉を繰り返した。
肉体的、精神的疲労に睡眠不足、そして加えられたアルコール。
横たわった体は、重く沈んでいく感覚に捕らわれる。
少しウトウトした頃、枕元に置いてある携帯が鳴った。
夢か現実か…頭がぼんやりしたまま音だけに反応し、私は携帯を手にした。
画面を見て、慌てて飛び起きる。
明日の昼過ぎしか連絡できないって言ってたのに…
急いでメールを開いた。
【夜遅くにごめん。寝てた?】相変わらずの短い文面が目に飛び込んできた。
こんな時間に…梨花さんはどうしたんだろ…。
不思議に思いながらも直ぐに返信する。
【眠ろうと思ってたところ。和馬は?…梨花さんはどうしたの?】
思いがけないメールに胸の鼓動が早くなる。
【梨花は寝てる。遅くまで起きてるんだな】
危険を冒してまで、連絡してくれる気持ちが嬉しくて、胸がキュンとした。
【なかなか眠れなくて…。明日は夕方には会えるんだよね?すぐそっちに行ける様に支度して待ってるから。何時くらいになりそう?】
携帯を握りしめ、恥ずかしい程の笑みを溢しながらメールを打ち返した。
でも、5分程経っても返事がない。
どうしたんだろう…
梨花さんが起きたとか?
不安にかられながら携帯を握る。
すると、ようやくメールが届いた。
【昼過ぎくらいかな。梨花が帰ったら連絡する】
それを読んで、ほっと一息ついた。
【分かった。待ってるね。梨花さんがいるのにメールくれてありがとう。凄く嬉しかった。おやすみなさい】
和馬の状況が心配になり、もっとしていたい気持ちを抑え、自分から切り上げた。
そして和馬からの【おやすみ】を確認すると、私は携帯を手にしたまま眠りに
ついた。
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