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寮に戻ると身体の芯が抜けた様に床に座り込む。 目の前のテーブルには、出掛ける前に使ったメイク道具がそのままに置かれていた。 数時間前にこの部屋を出る時の浮かれた自分が映し出される。 お気に入りのワンピースの裾を握りしめ目を伏せた。 自分の腕に印された爪痕を強く手で押さえ床に顔を伏せた。 『今日で終わりにしよう…』 『綾子…ごめん…』 和馬の悲痛な表情が頭から離れない。 追い詰められた末に出した言葉が何度も繰り返される。 私達…そんな…こんな簡単に終わったりしないよね? 梨花さんの前だからそう言うしかなかったんだよね? 和馬が私をこんな簡単に捨てるわけない… 彼を信じたいと願う気持ちと、裏切られていたのかという不信の思いが心を掻き乱す。 最後に聞いた彼女の怒鳴り声と扉の叩かれる様な音。 和馬が今も修羅場の中にいる事は間違いない。 一人逃げ帰ってきた罪悪感を感じながらも、簡単に別れを告げられた衝撃に胸が詰まり息苦しさが襲う。 『私…どうしたらいいの?私達…これからどうなるの?』 薄い壁からは、隣の部屋の音楽の重低音が漏れ、静かな部屋に響いていた。 顔を埋め耳を塞ぎ、私は声を殺し泣き続けるしかできなかった…。 その後…真夜中に涙が枯れ暗闇で茫然とする私に和馬から届いたメール 【今日は酷い事を言ってごめんな。いろいろあって落ち着くまで暫く連絡できないけど、後で必ず連絡する。ちゃんと話そう】 ベッドに横たわったまま画面を見つめる。 これ…本当に和馬? …また、梨花さんかもしれない…。   何が本当で…何が嘘? 私は何を信じて何を待てばいいの…? 返信をする事なく、そのまま携帯を閉じた…。
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