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「なに…それ…許せない。絶対に許さない!」 「…唯。許さないって言っても、どうしようもない」 怒りを露にする親友を見つめ苦笑いを漏らす。 「…医局にでも乗り込むか。院内放送で病院の裏に呼び出すとか…」 「それはマズいって。病院中に知れ渡って私の無様な姿を晒すだけだよ」  「だってさ、私はどんな形でも綾子を大切にしてくれてると思ったから黙って見守ってたんだよ?それなのに…彼女に知れたら『はい、さよなら』話もちゃんとしないで放っておくなんて卑怯だよ!格好付けた事ばっかり言って最低!男らしくない!最初から私は嫌いだったんだ!全く何様だっ、あのヤリチン男がっ!」 親友は机を両手でバンッと叩いた。 「唯、あんた毒吐き出すと止まらないんだからさぁ…本音出し過ぎ」 唯も今まで和馬に対して不満を溜めていたのだろう…。 不思議と、親友の乱暴な言葉に気持ちが救われる。 どんなに悔しくても憎んでも、愛するが故に飲み込んでしまう言葉がある。 私は一体何だったの? 結局…梨花さんだけが大切なんでしょ? 本命を失う事が怖いだけなんでしょ? 私が邪魔になったんでしょ? …こんな終わり方…許せない。 でも…もしかして連絡できない訳が有るのかもしれない。 簡単に私のこと忘れたりしないよね? だって…『綾子から離れない』って言ってくれた…『俺を信じろ』って言ってくれたんだから。  強引に遠ざけられる事への憎しみと、今も変わらない彼への執着心。 交互に襲う矛盾した感情が私の心を蝕んでいく…。 身動きが取れない私は、彼の『連絡する』の一言を信じて待ち続けるしかできなかった。   沈黙の中、ただクルクルと珈琲をかき混ぜる私を見て唯は大きくため息をついた。 「…ねぇ綾子、もし結城先生から連絡が来たとして…今までみたいに関係を続けたいって言われたらどうするの?」 「…さぁ…どうするだろ。言われてみないと分かんない」 「言われてみないとって…そういうこと考えてないの?」
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