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どれくらい泣き続けたのだろう…ベッドに頬を寄せ横たわる私は、嗚咽が止まない体をゆっくりと起こした。
時計を見ると午後4時を回っている。
泣き疲れた体を起こし、涙で濡れたシーツを剥がす。
そして用意した新しいシーツを掛けると、一杯になった袋を両手にさげ部屋を出た。
部屋に戻っても眠りにつける訳もなく、ベッドに潜り小さな音を流すテレビをただ眺めていた。
梨花さんの話したい事って何?もしかして…結婚のこと?
目を閉じると不安ばかりが頭を過る。
その度、和馬が与えてくれた甘い言葉にすがり付く。
和馬…まだ仕事終わらないの?
もう10時になるのに…。
ずっと握りしめていた携帯を見つめ大きなため息を溢す。
携帯を枕元に置きベッドに座り後ろの壁にもたれ掛かった。
暫く膝を抱え顔を伏せていると、携帯が鳴り出した。
『和馬!!』
伏せた顔を瞬時にあげ携帯を掴んだ。
「おぅ、ごめん。遅くなった」
「あ…うん。お疲れさま」
いつもと変わらない調子の和馬の声を聞き『トクン』と胸が小さな音を立
てる。
「めちゃ疲れたぁ~。あ…綾子は今夜は夜勤だろ?」
「うん。もう少ししたら支度しなきゃ」
「夜勤までに何時間ある?」
「え?…っと…1時間くらいかな」
壁に掛かった時計を見上げ答えた。
「ふぅ~ん…。俺、今帰ろうと思って北口駐車場にいる」
「あ、そうなんだ」
北口駐車場…。
随分病院から離れた場所に止めたんだ…。
私は不思議に思いながらも、携帯から流れる和馬の声を心地よく感じていた。
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