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 らーらーらー    るーるーるー 皆で行こうよ牡丹のない国へ  らーらーらー    るーるーるー 目隠しの船に乗って希望の国へ 世界じゅうに既に「牡丹」は広がっていて、けれどもどこの国も必要以上の拡散を嫌がっているから 例え船が何処かへたどり着いたとしても、岸に着く前に大抵の船は沈められてしまう 頭では皆解ってはいると思うんだけど、窓のない古い船に乗りたがる人は後を絶たない その船には食べ物も水も積んでなくて、乗船する人は財産を全て教団に渡していると知って、僕はやっと「牡丹」のない国が何処にあるのかを知った そこは牡丹も死者も居ない世界 一度死んだ者は二度死ぬ事は出来ない 妹はどうしているだろうか 「おい。早く次の回収に行くぞ」 仲間の回収人が僕を呼び、僕はその声に答えて仲間の後を追う 僕は顔も覚えてない父さんと母さんを初めて羨ましく思った
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