ぼ、た、ん

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 耳元で囁く声がした。  「ボ」  「ク」  「は」  其れは紛れも無く、別れた、私の元恋人の声だった。  「キ」  「ミ」  「に」  耳元に冷たい吐息が拭き掛かる。躯中がゾクゾクと震えあがる。  私の元恋人は、  すぐ隣に居る。  更に、元恋人は、 こう続ける。  「コロ」  「サれ」  「たん」  「…ダ」  其処まで聞いて、私は、全てを思い出してしまった。  隣に居る元恋人を、怖くて怖くて向け無かったが、滔々、振り向いてしまった。  其の瞬間、  頭の中が、  真っ白になった。  『ぼ、た、ん』  ~了~
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