第1話

5/6
前へ
/6ページ
次へ
死に様は生き様。 死ぬ間際まで、愛する人の事を想っていた貴女は、きっとそういう生き方をしていたのでしょう。 貴女の菩薩行は、もう貴女の身体という器のキャパをこえてしまったのでしょうか。 向こうの世界のほうが、貴女はより愛する人達を支えられるのでしょうか。 たとえそうだとしても、僕はもう一度、貴女に「ありがとう」と言われたい。 無償の愛を体現していた貴女は、僕らが何も返せなくたって、怒るどころか笑って許してくれるでしょう。 僕らがその分、他の人に愛を与える。そう思うんでしょう。 実際そうです。 貴女の愛は確実に、貴女の知らない人にまで届いています。 でもね…それでもやっぱり僕は、貴女に「ありがとう」と言われたい。 僕らは貴女の6番目の子供です。 親孝行できなくて、本当に本当にごめんなさい。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加