悪女の素顔

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沙織を失いたくなくて 自分を見失うほど壊れてた あの頃の自分も… こんなふうに 哀れだったのだろう。 「ああ、それと… 先程、青木社長から連絡頂きました。 息子さんの明仁さんのマンションの デザインを俺に任せたいとの事です」 「…はっ?」 「青木コーポレーションの 香港支社の応接室を デザインさせて 頂いた事がありまして。 俺が本社勤務になった事を ご存じだったようですね」 言葉を失ったまま ただキョロキョロと 瞳を揺らす彼女は… 俺が思っていたのとは 全然違う… …臆病で… 今にも壊れそうな ガラス細工のような女だった。
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