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早速スケッチブックを広げて
青木社長のご子息、
明仁さんのための
マンションのデザインを
描き始めた時
前島香織がプランニング課の
デスクへと戻って来た。
パソコン画面を見て
大きくため息を吐き出す
その姿に笑みを零しそうになる。
しかし…
チラリと冬木部長に
視線を送った彼女の表情が
またあの怯える小動物のように
弱々しく変化した。
すっと視線を移動させてみれば
彼女に見せつけるかのように
こめかみの横で親指と中指を
スルスルと擦りあわせる
冬木部長の姿。
…まるで二人だけの
秘密のサインのように。
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