慟哭

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その週末、 会社からほど近い 宴会場がある居酒屋で 俺の歓迎会なんてものが行われた。 「東雲さんって彼女いるんですか?」 「香港支社ってどんな所ですか?」 さっきから俺に ベッタリ張り付いて しきりに質問をして来るのは 加藤千夏とかいう若い女。 確か小野さんが 加藤千夏は社内No.1人気だとか 言ってたけど… …面倒くさい。 それよりも俺が仕掛けた罠に 前島香織が嵌ってくれたのか それが気がかりでならなかった。 注がれるビールを 黙々と口に運びながら しっかり冬木部長の隣に座った 彼女を観察する。 部長を挟んで宇佐美さんと 3人で仲睦まじく日本酒を 飲む彼女の表情は 仕事モードの前島香織だった。 けれど…
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