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宇佐美さんが席を外した途端
冬木部長と前島香織の表情が
微かに変わった。
彼女の耳元に唇を寄せて
冬木部長が何かを囁くと同時に…
彼女の表情が
一気に怯える小動物のように
変化したのを俺は見逃さなかった。
その瞬間…俺が仕掛けた
未完成のトラップは
失敗だと感じた。
と同時に湧き上がって来た
不可思議な激情。
…なんで…?
なんで沙織も…
前島香織も…
冬木拓馬じゃなきゃダメなんだ?
俺の刺すような視線を
怯える表情のまま
見つめている彼女から
俺も視線が外せないまま
じっと見据える。
逃がさない…。
たとえ未完成な
トラップでも…。
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