迷走

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「…キス…して下さい…」 瞳を閉じたまま 涙を溢れさせて言った彼女に 俺の心のドアを 揺さぶられた気がした。 「フッ…」 彼女は… どこまで俺を 溺れさせるつもりなんだろう。 去年のコンペの結果を見た時から ずっとこの女を壊したくて… 潰したくて… 嫉妬と憎悪にまみれた醜い自分を 嫌いになりながらも 必死に向き合って来たのに。 アッサリとそのドアを壊して 俺の中に住み着いてしまった。 それでも… これ以上彼女との距離を 近づける事が出来ない自分が あまりにも惨めに感じて 泣きたくなった。
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