3824人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
俺には沙織の言う事が
さっぱり解らなかった。
けれど溢れる涙もそのままに
俺を見上げる彼女の泣きぼくろが
目に映り込む。
このほくろ…
あんなにも好きだったのに…。
そのほくろをあの頃のように
指でなぞってみても
愛しさを思い出す事すら
出来なくなった俺は
冷たい男なんだろうか…。
そんな事を思いながら
静かに言葉を落とした。
「沙織…
もう俺とお前は6年も前に
終わったんだよ。
それなのに今更、
冬木部長を潰した所で
何の意味がある?
沙織が不安なら
ハッキリ言ってあげる。
俺はもう沙織の事は
好きじゃない」
最初のコメントを投稿しよう!