終わる瞬間(トキ)

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あの後、小野さんは しばらく車から戻って来なかった。 それでもオフィスに戻った 小野さんはいつものように 東雲さんと笑いながら ガラスの向こうで 仕事をこなしている。 やっぱり…小野さんは 大人だなって思った。 けれどそんな小野さんを 千夏は悲しそうな瞳で 見つめている。 千夏の表情を見つめながら、 私はどうして今まで 千夏の視線がずっと小野さんに 向けられていた事に 気付いてやれなかったんだろうと 猛反省していた。 千夏は… 東雲さんを見てたんじゃなく… ずっと小野さんを見てたのに。
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