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目頭が熱くなって来るのを
必死に耐えながら
俺は笑みを浮かべて答える。
「それは冬木部長に
謝って頂く筋合いはありません。
俺が…一方的に沙織を
好きだっただけですから」
俺の言葉に冬木部長は
苦笑いしながらスコッチを
口に運ぶ。
「それでも俺はもう沙織を
手離せなくなってたんだ。
沙織は全身で俺を
愛してくれる女だったから。
そんな沙織が愛しくて
俺に全てを依存してくれる
彼女が可愛くて…な」
「ええ、解ります…。
…けれど…
それを奪い返そうなんて
思った俺こそが
謝罪するべきだと思って
今日は冬木部長に
お時間を頂きました。
本当に申し訳ありませんでした」
頭を下げた俺に
冬木部長は動揺しながら
視線を揺らした。
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