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「意地悪…」
絞り出すように呟いた声は
ガラスの向こうに揺れる水面と
光の街並みに吸い込まれて行く。
湿ったキスの音を響かせながら
素肌をなぞった唇は
再び首筋に戻って来ると
頬をかすめて、私の唇へと重なった。
本当に宣言通り、
彼は私の高所恐怖症を
こんな形で克服させる
つもりなのだろうか?
けれど、ピタリと重なった
彼の唇と腰に回された腕に
しっかりと捕らわれて
恐怖心よりも込み上げて来る
激情の方がずっと大きくて。
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