旅立ちの章

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「……しばらく、お待ちを…… 」 バランは、兵士達がくるまで、門から先に入ろうとしませんでした。 「何故、入らない? ロンヌ城の前で待てば良いのでは?」 シアンは言います。 「この先、何が起きても 〃何もするでない〃何が起きてもじゃ……」 バランは、真剣な表情で、シアンと、ポポロンに言いました。 しばらくして、十人ばかりの兵士が、駆けつけて来ました。 「……バラン様、バルザス様は、お会いして頂ける様です。案内します。さ、こちらへ」 十人の兵士に連れられ、三人は、ロンヌ城に、向かいました。 門を抜けると、枯れた大地と、痩せ細った人々が居ました、痩せた子供を抱き抱える母親。そして 「どうか! この子に、水を下さい! 一滴の水を!」 「だまらぬか!!」 兵士は、躊躇(ちゅうちょ)なく、槍で叩きました。 「失礼。民衆が、ご迷惑をおかけして、もう、着きますので」 兵士は、なにくわぬ顔で言います。 うつむくバラン、目を伏せるシアン、そしてポポロンは、唇を強く噛みしめ、力強く拳を握っていました。
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