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「じいちゃん!ごめん! 遅刻し…… 」
「ばっかもんっっ!!」
ごつん! と、鈍い音が、活気溢れる広場に響き渡りました。
「いてーよ! だ……だから、ごめ」
ごつん! 緑の髪の少年の頭には、たんこぶが二つできました。
「いてー!」
「ほらポポロン、チケットじゃ! まったく、わしも、三試合見逃したわい」
怒った顔を、ゆっくり笑顔に変え、笑顔がとても素敵な、おじいさん。彼は、少年ポポロンのおじいちゃん。
七十四歳ながら、筋肉質で、オールバックの白髪頭のおじいちゃんは、ポポロンにチケットを渡し、肩で風を切りながら試合会場へ、歩いて行きました。
「ま……待ってよー」
ポポロンは、鉄の剣を、腰のベルトに取り付け、おじいちゃんに小走りで近寄ります。
妙にざわつく試合会場。
おじいちゃんと、ポポロンも、言葉を失いました。
「はやく! 手当てを! 君! ルールを、把握してるのかね!」
一人の剣闘士が、血を流し、倒れていました。審判が、強く言う人物は、紫色のローブの剣士。長い銀色の綺麗な髪がなびきながら、その剣士の剣から、血がしたたり落ちていました。
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