旅立ちの章

4/27
前へ
/95ページ
次へ
「じいちゃん!ごめん! 遅刻し…… 」 「ばっかもんっっ!!」 ごつん! と、鈍い音が、活気溢れる広場に響き渡りました。 「いてーよ! だ……だから、ごめ」 ごつん! 緑の髪の少年の頭には、たんこぶが二つできました。 「いてー!」 「ほらポポロン、チケットじゃ! まったく、わしも、三試合見逃したわい」 怒った顔を、ゆっくり笑顔に変え、笑顔がとても素敵な、おじいさん。彼は、少年ポポロンのおじいちゃん。 七十四歳ながら、筋肉質で、オールバックの白髪頭のおじいちゃんは、ポポロンにチケットを渡し、肩で風を切りながら試合会場へ、歩いて行きました。 「ま……待ってよー」 ポポロンは、鉄の剣を、腰のベルトに取り付け、おじいちゃんに小走りで近寄ります。 妙にざわつく試合会場。 おじいちゃんと、ポポロンも、言葉を失いました。 「はやく! 手当てを! 君! ルールを、把握してるのかね!」 一人の剣闘士が、血を流し、倒れていました。審判が、強く言う人物は、紫色のローブの剣士。長い銀色の綺麗な髪がなびきながら、その剣士の剣から、血がしたたり落ちていました。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加