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走って走って…漸くあの二人から逃げ切れたと理解した
今思うと最初から追ってくる気配は無かった気もするが
(あ~…なんかあの二人はヤバい。上手く逃げ出せたが…もう会いたくねえ)
すれ違う人を無視して後ろを見ながら汗を拭う
確認した後、前を見て歩き出した
途中、黒い二人の男を引き連れる恰幅のいい男とすれ違った
「…は?」
後ろで血を流しながら倒れて動かなくなった人間が現れたらしい。悲鳴と慌てる声が聞こえる
気にもとめず懐から紙を取り出した
(まあ二つ貰った内の一つは無事終わらせられたし面目はたつだろう)
紙をもう一度戻して当たり前のように近くの喫茶店に入る。喫茶店には倒れた男を見に行った野次馬達がいないためカウンターに従業員が一人いるだけ
早瀬瞬はいつものようにカウンターに座り残って本を読んでいる従業員に話し掛けた
「今日は何人集まるんすか?」
「私が知るか。集合は21時と伝えてはいるが個人的な理由があれば来ない奴もいるだろう」
「…本当に適当すぎ」
溜め息を吐きながらテーブルに貼られたメニューを指差す。その答えの返事は指差したカウンターの奥
暗に、自分でやれと伝えている
「何故喫茶店を開いているのか」
「副業、暇潰し、カモフラージュ、etc」
溜め息を吐きながら席を立ちカウンターの方に向かう
「あ、そうだ。英雄の暗殺の依頼、降ります」
「そうか。まあ誰にも出来ないと思っていた」
本から目を離さず語り続ける女、篠崎神流
暗躍しない裏組織“荒野の月”の仲介人である
「そんなことより私のエスプレッソはまだか?」
「立場逆だろ!!」
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