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……次第に涙が流れ落ちてくる。
止まってくれない。
そのまま涼にしがみついて、涼の着ている服を湿らせた。
「少なくても俺はキミを必要としているから……だから由芭ちゃんも俺だけを見てよ?」
「……はい」
そして涼の優しい腕が背中に回ってくる。
こんなに風に優しく抱き締められたのは初めてだった。
この腕が、私の汚い腐った部分を洗い流してくれるように感じた。
私よりずっと前から涼は私の事を思ってくれたんだね。
……それに気づかなくてごめんね?
涼の瞳はいつも私を見ていたのに、それは別の人を見ているんだと勘違いをして過ちをした。
それでも涼は、私を必要だと言ってくれた。
……もう私は迷わない。
この人の胸に飛び込んでいける。
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