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その点、人の影を狙うのは楽しい。
所詮、“男” は“男” だと自覚してしまう。
……いい女が目の前に現れたら、振り向くのだ。
男の本能のままに――…‥
それがイケメンではなくて、中身のちゃんとした男が落ちた時こそ快楽を楽しめる。
その時の代償は、私の腐っていく心だ。
そして友達も姉も皆が私を罵っていった。
それでもやっぱり壊したくなるの。
そこに愛がないのだから―――…‥
愛があれば、簡単には壊れないだろう。
……そうでしょう?
「ねぇ由芭ちゃん」
この暑い日に涼は、涼しげな顔をして懲りずにまた喋り出した。
私は涼から目を逸らすと、身体を入り口へ向けて座り直す。
この人と向かい合わせなんて、冗談じゃない。
それに何か馴れ馴れしいし。
初対面相手に、“ちゃん” 付けで呼ばれる覚えはないんだけど?
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