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涼が私の腕を掴んで、長い足を出して引っ掛けているからだ。
またまた、この顔と目を合わす事となった。
「何? 何なのよ?」
「ねぇ由芭ちゃん! 学校終わったら、俺と一緒に帰らない?」
「帰らないっ!!」
馬鹿じゃないの?
何でこの私が、コイツと一緒に帰らなきゃなんない訳?!
おまけにさっきも言ったけど、イケメンが超苦手なのよ!!
これ以上、私に関わってほしくない。
アンタにも関わりたくない。
……このスかした顔、何を考えてるか分からないし。
そのまま私は涼の足を避けると、反対側のドアを目指した。
昼休みの賑やかな食堂は、こんな私達のやりとりを知らないだろう。
けど、度々刺さる矢のような視線が、時折痛く感じる。
……注目されているのは“私” なのか、それとも“涼” なのか。
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