花火

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「俺、諦めて次の女探すかも。」 いきなり人差し指を立てて、いかにも名案という顔で言った。 「そんなつきあえるかもわからない、ましてやキスとかセックスなんて滅相もないような女、生殺しもいいとこだぜ? 厄介きわまりない。」 「……。」 こいつに話した俺がバカだった。 自分でも気持ちを自覚したばっかりだというのに、ここまで突き落とす奴はなかなかいない。 「ま、でも恋は努力でどうこうできないからな。 事故と一緒で止めようと思っても後の祭りだし。 するもんじゃなくて落ちるもんだし。」 「ふ。講師か、お前は。」 「まあ、その男が司くらいのいい男なら振り向かせることができるんじゃない?」 俺の目をじっと見てニヤリと笑った。 こいつホントに…。 「伝えておくよ。」 煙草に火をつけて、再度ソファに寝転がり、そう切り返した。
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