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ぼーっとパソコンのデスクトップを見たまま何分過ぎただろう。
頭の後ろで手を組み、足を交差してデスクの上に乗せ、昨夜送られてきていた花火の画像に見入る。
朝方帰ってきて少し眠り、今のどかな日曜の昼下がり。
窓を全開にしているのでカーテンが少し揺れる隙間から湿気を帯びた風が入ってくる。
送られてきたメールには、
『花火行ってきました。
すごくきれいでしたよ。
司さんにもおすそわけ。』
というコメントと、きれいな3尺玉の花火の画像が添付されていた。
「きれいだねぇ。」
できれば、昨日あの場所で君に言いたかったんだけど。
「はは。乙女か俺は。」
一人でつっこみ、一人でまたため息をつく。
昨夜勝手に春子のことを好きだと自覚したのも、勢いで大倉に相談したのも、おそらく花火と酒のマジックだろう。
春子に対して好感を持っていることは間違いない。
じゃなければこんなに長いことメールはしない。
ただ、昨夜はシチュエーションがシチュエーションだっただけに、勝手にそれ以上の感情だと自己変換してしまっただけだ。
そしてその流れで大倉に暴露してしまっただけだ。
…にしては、この花火の画像を見ていると何度も春子のあの横顔がちらつく。
あの子は実は近くで見れば見るほどかわいい。
「あーっ、もう!」
頭を片手でくしゃくしゃにして、椅子の背もたれに体重をかける。
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