4/20
前へ
/33ページ
次へ
プルルルル… 4コール目で声が聞こえた。 「もしもし。」 「あ、おふく…「忠貴、まだ仕事終わらないの?」 「……。」 「早く帰ってきてよ。 お腹の中に赤ちゃんいるんだから。 私不安でたまらないの。」 「……。」 固い鉄の塊で頭をガツンと殴られたような衝撃と眩暈が襲う。 「聞いてるの?忠貴。」 母親の声は恋人と話すような甘い声だ。 「……あ、…うん…。」 死んだ父親の名前を繰り返し呼ぶ母親に、かろうじて返事をする。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2641人が本棚に入れています
本棚に追加