5/20
前へ
/33ページ
次へ
「なんか変よ、忠貴。 疲れてるの?」 「あ、のさ…、今日何月何日だっけ?」 「え? …あ、ちょっと待ってね。 何日だったかしら…。 あれ? カレンダーは6月だけど…。 それにしては寒いし…。 あら? おかしいわ…。」 母親はごにょごにょと呟き始めた。 コツ…。 電気もつけていない部屋で、立ったまま壁にうなだれかけ、頭を軽く打ちつけた。 つぅーっと、一筋涙が流れる。 今日は俺の誕生日だよ。 今おふくろのお腹の中にいるのが俺だったら、そいつが産まれた日だよ。 「…っ。」 堰を切ったように、後から後から静かな涙がこぼれた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2641人が本棚に入れています
本棚に追加