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暗い部屋の中、玄関の仄明るい照明だけが俺の影を長く長く作っている。
しばらくその影を見ながらぼーっと考えた。
―明日、迎えにいこう。
おふくろを。
同居の決心を決めて、ようやくそこから立ち上がった。
次の日、有給を貰って実家へ帰り、母親を迎えに行った。
部屋は一年前に帰省した時以上に散らかっていて、俺を見たおふくろはやっぱり俺を死んだ父親の名前で呼んだ。
引っ越しだと言ってなんとか説得して、移り住む準備をさせた。
部屋はまだ散らかったままだったけれど、また今度帰って片付けることにした。
俺の家へ車を走らせている間、慈しむようにお腹をさすっている母親の姿を見て涙が出そうになったが、ぐっとこらえて母親の話に付き合った。
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