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「本当に清貴君のこと愛してるって言ってたわ。 姉さんのこと許してあげてね。」 叔母は最後に線香をあげて帰って行った。 「……。」 また、一人になって墓石の前でたたずむ。 暑さで汗が額から頬を伝い、一粒ポタリと落ちる。 正直、最後に過ごした3ヶ月以外は、ずっと母を憎んでいた。 自分勝手で、周りを不幸にして、巻き込んで。 女を信じられないも、汚らわしいと思ってしまうのも、ずっと母のせいにしていた。 でも、本当は父親を裏切って出て行ったわけではなかった。 むしろ、最期まで父のことを想って死んでいった。 ある意味、最も高尚で純粋な女だった。
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