2658人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に清貴君のこと愛してるって言ってたわ。
姉さんのこと許してあげてね。」
叔母は最後に線香をあげて帰って行った。
「……。」
また、一人になって墓石の前でたたずむ。
暑さで汗が額から頬を伝い、一粒ポタリと落ちる。
正直、最後に過ごした3ヶ月以外は、ずっと母を憎んでいた。
自分勝手で、周りを不幸にして、巻き込んで。
女を信じられないも、汚らわしいと思ってしまうのも、ずっと母のせいにしていた。
でも、本当は父親を裏切って出て行ったわけではなかった。
むしろ、最期まで父のことを想って死んでいった。
ある意味、最も高尚で純粋な女だった。
最初のコメントを投稿しよう!