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ポツ、ポツ、と春子の顔に多数の水滴が落ちる。
雨が降っていたことを忘れていた。
いや、違う。
俺の涙か?
水滴は血液を滲ませ、薄い朱色に変えていく。
何だ、これ?
現実?
「わぁ。わぁーーーーーー。」
春子。春子。春子。春子。春子。
いやだ。
なんで?
やっと会えたのに。
さっきまで笑ってたのに。
「はる、春子っ!…春子っ!」
俺の車に乗らなければ、
俺が話しかけなければ、
俺と知り合わなければ、
こんなことにはならなかった?
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