2858人が本棚に入れています
本棚に追加
ヴー、ヴー、ヴー……。
ポケットに入れた携帯を取り出すと、大倉からの着信だった。
おそらく腕の怪我を心配してかけてきたんだろう。
白川さんも、昨夜あの後どうなったのか心配してるだろうな。
ピ。
電源を切った。
病院だということもあるが、なんだか今は説明をする気分にはなれなかった。
むしろ、今のこの2人だけの空間と時間が惜しくて、少しでも邪魔されたくなかった。
春子の眠る顔に目を映す。
そしてまた手を握る。
「……あったけー。」
指と指を絡ませる。
体温はこんなに温かいのに目だけ覚めない春子を、ずっと、ずっと見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!