病院

24/29
前へ
/38ページ
次へ
春子の母親は、笑うと春子の顔に似ている。 親子だから当たり前だけど、その笑顔は俺の心をほっとさせるものを持っている。 事故当時の緊迫して蒼ざめた表情が次第に緩んで、穏やかな顔、穏やかな語り口調になってきた。 春子のことを本当に大事に思っているのが伝わってくる。 形は違えど、俺に愛情を注いでくれていたおふくろのことを思い出すこともしばしばだった。 春子の見舞いには親戚夫婦が1組来ただけだった。 「優羽さんと仲がいい瑞希さんはお見舞いに来ないんですね。」 と、春子の母親に話を振ってみた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2858人が本棚に入れています
本棚に追加