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春子が事故に遭ってから今日で1週間目。
俺の有給もあと1週間だ。
午前10時。
春子の母親は昼頃来ると言っていた。
窓際に立ち、空を見上げる。
モクモクした雲はいつの間にかいなくなって、薄く透けるような雲が空を覆うようになった。
秋が近付いていた。
コツ。
窓に頭を付ける。
この1週間で分かったことがある。
春子の両親は、俺が春子の恋人だと完全に誤解している。
違うと説明しようかとも思ったが、こうして春子のそばで様子を見守ることができるのもその誤解のおかげだと考えると、正すことができなかった。
自分はずるい。
ずるい人間だ。
でも、全ては春子の目が覚めれば終わること。
悪者になってもいいから、今はそばにいたかった。
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