病院

27/29
前へ
/38ページ
次へ
カラ……。 換気のために少し窓を開ける。 気温はほぼ同じくらいだが、心地よい風が入ってきた。 意外と風強いな……。 あまり体に良くないかなと思い、すぐにまた閉めた。 「つっ!」 何か聞こえた気がした。 ギシ……。 ベッドの軋む音。 俺はゆっくり振り返る。 「いたっ!」 春子の声。 春子が頭を押さえながら体を起こそうとしている。 「……あ…。」 声に出したつもりが、出ていなかった。 俺は自分の視界に映る春子を、まるでスクリーンで見ているかのような感覚に陥る。 目が離せず、口を半分開けたまま立ちすくんだ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2858人が本棚に入れています
本棚に追加