一週間(Ⅰ)

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医者の話を聞いた後、トイレに寄るからと、一人離れた。 春子は忘れてしまっていた。 事故のことに加えて、俺のことも。 ――忘れてしまっていた。 自分にとって忌まわしい事柄を、存在を。 春子の、 『あなた誰ですか?』 という言葉で、春子の中から俺の存在が完全にシャットアウトされたことを悟った。 脳味噌っていうのは、やけに都合よくできてるんだな。 春子にとって害になるものをちゃんと除外して目覚めさせてくれた。 神様。 俺の願いを聞き入れてくれて感謝します。 俺はどうなってもいいから、春子を助けてくれって願いをしっかり聞き入れてくれて。
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