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春子が俺とのやり取りや出会いを忘れたんなら、後は俺が春子を忘れればいいだけの話だ。
なんだ、これで踏ん切りがつく。
長い片想いも、ようやく終焉を迎えることができる。
「……。」
春子が目覚めたから嬉しいはずなのに、苦いものがじんわりと胸から上がってくる。
事故のことは詳しく言わないでって春子の母親に言われてたし、実際無理に思い出させるわけにもいかないから、ちゃんと謝ることはできない。
俺のことを忘れているわけだから、告白することさえできない。
ただ、去るのみだ。
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