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「ああ、司君。
早く部屋に来てくれないか。」
トイレを出て、病室とは反対方向へ足を進めようとすると、春子の父親がニコニコした顔で反対側から声をかけてきた。
「……。」
ああ、どんな顔で春子と接すればいいんだ?
俺は今、ぐちゃぐちゃだ。
あの可愛くて潤んだ目が、俺に対して他人を見るような色になるのを見たくない。
「司君。」
再度、名前を呼ばれる。
俺は重い心を抱えたまま、病室へ向かった。
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