一週間(Ⅰ)

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春子は比較的落ち着いていた。 思い出そうとしているのか、やたらと俺を見る。 不審な視線のようでもあり、興味津々な視線でもある。 他人を見るような目であることには間違いない。 あんまりじろじろ見ないで欲しい。 母親が、俺を忘れた春子に呆れたような口をきく。 春子は、何度も何度も俺と母親を交互に見る。 きょろきょろするリスみたいだ。 「……。」 母親の話を聞きながら、ちょっとだけ、春子の顔がはにかみ出したような気がした。 ……ちょっと待って。 変な誤解し出してない? ――バタン。 あろうことか、春子の両親は俺と春子を2人にして病室を出て行った。
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